[MSXソフトウェア検索Tagoo]
ウィザードリィ

ソフト紹介

親記事: ウィザードリィ
タイトル: この地下の一室から見渡せるもの
日付: Sun Oct 31 04:51:48 2004
書いた人:ZL
 <planetary_titan_sushiya@hotmail.com>

1995年あたりでしょうか。
CD-ROMメディアの台頭を、時間の問題として実感し始めた頃に、
テレビゲームの今後のありかたについて望んでいたこと、
1)許容データ量の増大 → 「プレイ環境に対する選択肢が増える(Hyper Option)」
2)より繊細な画像出力 → 「小さくても美しい日本語テキスト表示」
3)処理速度の飛躍的向上→ 「これまで現実的ではなかったパラノイアックな
              内部処理による斬新さ、不可思議さの追求」
これらのことごとくに対して厳しい現実が待ちかまえており、なにか
これまでのゲームシーンが育んでいたと思われる価値観や、ある種の
ソフトウェア気質(こだわりも、いい加減さも含めた思いの強弱)といっ
たものが粉々になってしまったような気がしていました。
 とにかくサウンドは別の次元にして論外。ただ、今思えばそれ以上
にショックだったのが「スクリーン表現」で、レイアウトやフォント、
固定画像の堅実さから生まれる安心感、それらが軽視されている様に
感じられたのが、とても悔しかったわけです。そろそろ本題。
 そんな当時の怒れる一青年の指針というか、拠りどころになってい
たのが、「ウィザードリィ シナリオ1」MSX2(DISK)版でした。
家庭用ゲーム機とパソコンのはざまで「魔城伝説」や「F1スピリット」
に熱狂しながら、PC98や88、X1などの端正な画面のゲームソフト
に憧れたのは私だけではないはずです。(そのくせMSX2専用版より
軽快なMSX版をチョイスするのもまたMSXゲーム魂でありますが)
 ウィザードリィは、よく「画面表示がシンプルなので想像力を〜」
と書かれます。しかし「画面表示が美しい」というのはあまり聞きま
せん。私はこれほどまでに静止画面を見飽きないゲームソフトという
のは、そうあるものではないと考えます。
 日本語表示である程度流れをつかんだなら、ぜひ英語表示でプレイ
してみてください。このゲームはいわば中身で勝負のタイプですが、
アルファベットによる最大15文字までのキャラクタ名を、おりにふ
れて律儀に表示し、確定/未確定を問わないモンスター名単数・複数
の表記時における処理(例:THIEF→THIEVES)、こうした条件により変
化する表示文字列を数行に割り振ったあと、センタリング処理をして
初めてサイズの確定するメッセージウインドウ。そこに一見ごちゃ
まぜにされたような言葉の羅列に示される事柄の、警告のような、
新聞記事のような中立性がもたらす空気‥‥。ウィザードリィこそ、
スクリーン命のゲームなのではないでしょうか。
 パラノイアックな(?)判定処理。「音が寂しかったらCDでもか
けなさい」という ''小は大を兼ねる''哲学(?)。緊張と脱力、笑いと
悲嘆のコントラスト。
 ほかの一部の機種と同じように、処理速度、進行速度においては
大変な忍耐を強いるソフトウェアに仕上がっていますが、それは、
裏を返せば「ウィザードリィをプレイする」行為がいかに酔狂な
ことかを自ら示しているようで、それは正しい、そしてそれは他の
ソフトが真似をしたくても難しいものだと言いたい。
 これは、長い待ち時間が有益な、めずらしい しなものです。

 MSX2版は基本レイアウトがパソコン版、基本グラフィックが
ファミコン版から採られ、この選択が非常にすばらしかった。いい
とこ取りに近い感じ。ただしモンスター画像のバリエーションには、
大幅なボリュームダウンがみられます。また、PC98版などの
漢字かな混じりの日本語表記には確かに軍配を譲るものの、MSX
の英語モードには、あいのこハードの面目躍如というか、ドットに
賭けているホビー機の血脈がここで渋く主張しており、他の追随を
許さないものがあります。同じフォントサイズでの漢字とアルファ
ベットの共存が難しいということで、日本国内では唯一MSX2版
(の初代)のみが、英語モードを優先させた(せざるを得なかった)の
だと理解していますが、みなさんはどうお感じでしょうか。

 続編としてシナリオ2、シナリオ3がMSX2でも登場しました
が、やはりひらがなの読みづらさに対する配慮もあってか、大幅な
フォント周辺の変更がなされており、前述の英語モードの美しさは、
ここではもう見る影もありません。このあたりは、個人的に歯がゆ
い思いをしました。
 また、当シナリオ1にはROMバージョンも存在します。これが、
ちょっとした曲者で(失礼)、ほぼディスク版と同じであると考えて
もらって間違いありません。キーを押したあと、ディスクと同じよ
うな間が発生します。曲者、というのは、ディスクでいうシーク音
が全く発生しないため、自分のキー入力が受け付けられたのか分か
らないまま、待つことになるからで、これは非常に気持ちの悪い感
覚です。音ひとつで解決できたはず。不可解です。
ただし、キャラクター作成が「すこし」スムーズになるので、ロム
で登録したキャラクターをユーティリティで移動させるという名目
で「大活躍」します。つくづく酔狂なゲームですね。

※最初から飛ばしましたが、今後はコンパクトにやります。
 たぶん。



引用する

このレビューに対するコメント
まだ登録されていません。

戻る