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渋滞パニックトラフィック
ソフト紹介
親記事: 渋滞パニックトラフィック
タイトル: 街のホワイトノイズ
日付: Wed Dec 1 07:09:11 2004
書いた人:ZL
<planetary_titan_sushiya@hotmail.com>
交通管制システムに異常が発生し、信号機が切り換わらなくなった
ロンドンの中心部は、パニック状態に陥りつつあった‥‥。
このゲームは、プレイヤーが手動で各交差点の信号を操作し、起き
つつある渋滞を回避し、混乱を乗り切るというものです。画面外か
ら様々な車両が次々に通りへと差し掛かり、それぞれのルートで区画
を走り抜けようとしますが、なにせ信号は故障中なので、各所で信号
待ちの車列ができ、プレイヤーが該当地点の信号を「ひっくり返す」まで、
その場を動きません。カーソルで交差点を指定し、スイッチひとつでその
地点の信号が切り換わる、その動作を繰り返すという、言ってみればそれ
だけのゲームなんですね。しかしまあ、このソフトは初めて見たときから
なにかピンとくるものがあり、ジャケ買い上等、と意気込んで購入した
私の心をわし掴みにしたのであります。「あざやかな」という表現は、な
にも色彩のありようだけを指すものではないですよね。この「トラフィック」
をプレイするとき感じるのは、街がそこにある、ということ。そしてそこに
介入するという行為の愉悦感、また介入手段がある意味「職務的な行為」で
あることからくる開かれた緊張感‥‥。これらを支えているのはデザイン、
プログラム、サウンドの素晴らしさでした。形が、動きが、音が、「あざやか」
だったわけです。バイク、バス、救急車など、雑多な車両が一列にひしめき合う
のに、スプライトを使っている場合ではありません。ノロノロと交差点進入し、
ふと尻に火がついたかのように突然走り去る車。止まれるかい、と言わんば
かりに赤で加速を始める迷惑車。逡巡しているようなオートバイ。おのおのが
自律的に移動しているさまを、グラフィック画面で表現(たぶん)。救急車の
ランプや、方向指示器(!)は別として、白一色のみでシンプルに、動きで勝負
したデザイン。方向転換がやや「モーフィング」ぽくて車らしからぬ部分も
あります。しかしそこに文句を付けるような人がいるとは思えません。それく
らい厳密な、きめ細やかな処理を「俯瞰している」高揚感があります。
しかし、「リアリティ」という言葉はこのゲームにどうも似合わないように
思うのです。しっくりきません。過去の人気ゲームを、(いわく)今風にアレンジ
して総スカンを食ったり、売り上げランキングの上位が「復刻版」に占領され
たりしている現状をみて、昔はいろいろ不満もあったに違いないけれど、今と
比べたらよっぽど作り手を信頼していたんじゃなかろうか。問題はリアリズムと
深く関わっているような気がします。何の話だっけ?
不思議とおおらかなゲームだと思います。救急車が来たら何よりも優先して
通してやらなくてはいけないし、複雑な要因が絡み合った渋滞に頭がパンクしそ
うになったり(そこへ救急車がとどめをさしに来る)と大変なことも多いですが、
慣れてくるとボンヤリしていてもクリアーできたりするし、最初からゲームオー
バーになるつもりで遊んでも楽しいようなゲームだから、肩に余計な力がはいら
ない。そしてドライバーたちは困っている、という図式。いいなあ。
カーソルが各交差点を飛び移る時や、信号を切り換える操作をしたときの効果音
が無いのが素晴らしいし、このソフトの優れた操作性は音のサポートを必要とは
していないです。見下ろした街並みから、ただざわめきだけが立ちのぼります。
おすすめ度: ★★★★
タイトル&ジングルの音はデカいな: ★★
MSXとの相性: ★★★★★
アンドロメダソフトの功績はテトリスだけじゃない度: ★★★★
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